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このG・W(2016年5月)の期間中、一部を除き、一切の外部からの情報を断つ事にしていた私は、帰ってきてやっとこの事実を知りました。

冨田勲氏について、大変なファンの方々に比べたら私が書く事など、逆におこがましいですし、私ができることは偲ぶより聴く事しかできないのですけれど、またテレビのコメンテーターの様な胡散臭い追悼なんてしたくないので、書きたいように書きます。このページの中ではそれしか出来ません。


これを期に、私もMoogシンセサイザーを取り入れようと決めました。単純な理由でMoogの音は私も好きだからです。


私も全く同じパートを何百回も音を重ねて、あの苦労を味わってみたい衝動にはかられます。私はドラムが叩けないので、生ドラムを色んな強さで単発単発何度も叩きながら何百種類も録り続けた事があります。…神経がズタズタにやられます。結局そのサンプラーのビット数が作品に沿わず、全部おじゃんになった事もありました…消す時は一瞬の儚さ…それでもちゃんとズッコケた分だけ学べた事って結構あって、それを次に活かせるかどうなのか。

あ、もういい、リズムパートはとっかかりとして最初は単純なので良い。これでも活きるし、
次からは作品になるに相応しいのをちゃんと先読みしながら作る…これでも活きる。

ズッコケタお掛けでそれが出来る様になる。一歩前に進めるって、やっぱり人間て、こうなんですね。


今回の場合、苦労を味わうと言っても、あの冨田勲氏の音の魅力、幻想性、普遍性、宇宙的なあの美しさを研究し、取り入れ、直接味わいたいのです。絶対にずっ転び状態になるし、『厄介な事を私は始めてしまったぞ』に、なると思われます。それを覚悟して今回、やってみよう。初めはMoogいじりから遊ぶ事から始めます。私は冨田勲氏とは気質が違うので、同じにしようとは全く思いません。違う形での私の表現になっていくと思われます。

そしてこの瞬間的に、私の音楽的な方向は『宇宙』に定められてきた…とひしひし感じます。私はProToolsを使っておりますが、何百回もオーヴァーダビング、One on oneと言うレコーディング方法ですね。cpuとdspの限界が心配です。Mixダウンして、同じビット数とサンプリングレートに集約されてしまうのですが、途中までは、その魅力は味わえます。サンプリングレートに集約はされても、直接手で打ち込んだ自然のアナログディレイタイムの微残響の魅力はそのまま残す事が出来ます。

個人的には電磁コイルの楽器が好きであるが、決して電子波形楽器が悪い訳でも、サンプリングイミュレーター楽器が悪い訳ではありません。本当に個人的な好みです。

そんな電磁コイル生楽器が好きな私でも、Moogだけは別格だ。テルミンもだが、どうやら同じ方が設計者だったようです。あれもアナログなので、もろに生の電子波形の音がする。このMoogだけは、シンセサイザーよりエレクトリック楽器を優先する私ですら聴き惚れた。冨田勲氏同様に『これだ』を感じてしまった。

YMOなどKorgアナログシンセも触った事はありましたが、どうも私の好みのツボにはまったのはMoogだけでした。E-muも良い音してますね。でも私もこのMoog。

Moogの最大の魅力は波形の溝が全く無い様に聞こえるところだ。これはMoogとテルミンだけにある特徴と言える。いってしまえば音が全部繋がって聴こえるのだ。そして幻想的であり、克つそのまま見上げるそのままの宇宙すら感じさせる。

Korgアナログシンセも決して悪くはない。例えば最近また良いアナログシンセを作ったようです。しかしながら、Moog程のあの波形の密度、そしてあの宇宙の様な音の魅力は無い。更に素晴らしいのは現代版Moogも尚、その魅力は衰えずあのMoogなのだ。現代版Moogは、あのブースターがどうやらその魅力を最大限に引き出しているらしいですね。良いですMoog。そして随分お求め易くなってきた。なのにあのMoogの音。

個人的にはMoog Mother32に聴き惚れてしまいました。コンパクトMoog(Werkstatt-01)も良いですね。あれは色々遊べそうです。先程のKorgシンセも良いですね。本当に好みの問題です。

Korg Minilogue


Moog Mother-32_1


Moog Mother-32_2


Moog Werkstatt-01


後は冨田勲氏の音の魅力を研究していこう。これはとても音楽以外でも自分の為になると思うんです。何百回も…そのレコーディング中の情熱をどうやって保ったのか、その集中力をどうやって研ぎ澄まし、維持したか。想像を絶する…想像を絶する事を体感する挑戦をする。私にとって未知の領域。その未知の領域を挑戦する。魂を磨いていこう。

冨田勲とナスカこちらはMoogではありませんが単に好きだから勝手に載せました。意図も何もありません。

冨田勲とMoog、MTR、MIDI指令の原形これには共通点を感じずにはいられない一言にハッとした。特に私がやっている96音階~72音階の様な、平均律12音階『以外』の音階に拘る姿勢。そして、最終的には、律が微妙にちがっても、例えばスティーヴィー・レイの様に一緒に演奏してしまって構わない…と言う事だ。

巨匠が同じ事を志し実は実行していた事で、私は誰に罵られようが正しかったと知る事ができました。ありがとう冨田勲さん。



Isao Tomita (RBMA Tokyo 2014 Lecture)



それでは(2016_05_11)